空き店舗探しで欠かせない居抜き物件情報をご紹介

最近、テナント(貸店舗。ビルの一区画の借り主)の募集で「居抜き」という看板を目にします。あまり聞きなれたとは言えない言葉ですが、実は、出店する人も、閉店する人もビルのオーナーにとっても得になる新しい契約の形態だと言ってよいでしょう。「居抜き」とは、ビルの中の一区画としてがらんとした空間としてのテナントではなく、以前、この空間を使っていた店舗による内装や設備などが残されていることを含意しています。新しい店舗を作って出店しようとする人にとって、簡単な手直しだけで開店できるというメリットがあります。前の店舗が飲食店で、新しく出店する店舗も飲食店だった場合、食器類などが使える場合もあります。もちろん看板の名前を付け替えるだけですぐに営業ができるという状態は少ないです。たいていは、内装の一部や厨房設備だけなどが残っている場合が多いでしょう。とはいえ新しく出店する側にとって大きな得になります。

「造作譲渡契約」」「資産譲渡契約」について

通常の店舗の賃貸借契約をかんがえますと、退出する店舗は、内装や設備の解体工事、現状回復工事を行いコンクリート打ちっぱなし状態(「スケルトン状態」)にします。この状態で新しい店舗に空間を明け渡すわけです。しかし解体工事自体にかなりのお金がかかり大きな損失になります。そこでビルのオーナーに了解を得て、退出する前に設備をもらってくれる借り手を探します。この物件が「居抜き物件」(居抜き店舗)です。提出する店舗(テナント)は、無料で引き渡すという場合は少ないです。むしろ、設備や内装を買い取ってもらえるところを探し、新しく入居する店舗に内装、設備、備品などを売りに出します。これが「造作譲渡」と言われるものです。新しく入居する店舗は、ビルのオーナーと賃貸借契約に加え、退出する店舗(テナント)と「造作譲渡契約」「資産譲渡契約」を結びます。新しく出店する側だけでなく、退出する側にとっても大きな得になります。

3者のだれにでもメリットがある

以前は居抜き物件は飲食店がほとんどでしたが、最近は歯科医院、学習塾、美容室、エステサロンなども居抜き物件の使用が多く見られます。歯科医院などの場合、店舗を新しく作り上げるとなるとレントゲン機器や診療ユニットなどを考えれば5千万程度は必要です。ところが以前、歯科医院であったところを使用するとその5分の1の1千万、あるいは数百万程度で設備が使えるようになります。新しく入居する店舗にとっても新しく内装、設備、備品などを購入するより譲渡してもらった方が、圧倒的に安いのです。このように第1に新しい店舗を作る側は大きな得があります。第2に退出する店舗も解体費用が節約でき「造作譲渡」で収入が得られるので得になります。しかも引き渡し直前まで営業ができるため解体事期間のビル賃料を払わなくてよくなります。そして第3にビルのオーナーも大きな得になります。「空室期間」がなくなり、賃料収入が途切れなくなるからです。